(前略)自慢では無けれど先生さまにも褒め物(ほめもの)の子を、貧乏なればこそ蜆(しじみ)を擔がせて(担がせて/かつがせて)、此(この)寒空に小さな足に草鞋(わらじ)をはかせる親心、察して下されとて伯母も涙なり。
樋口一葉/著『大つごもり』より
作中で八歳の子どもが奉公に出された際の文章です。大つごもりとは大晦日の旧呼称で、この作品は大晦日における顛末を描いた小説になります。
いまこのページを見ているあなたは、おそらく暖房のきいた部屋にいるのでしょう。今夜はテレビの歳末番組を観ながら年越しそばを食べ、そして明日はおせち料理に舌鼓を打ちながら、周囲と初もうでの算段でもつけるのでしょう。
私も多くを言えた義理ではありませんが、この状況に、感謝の念を。
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